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 基礎技術テーマ:モデリング講座その3
 車のモデリング方法・3 車の内装を作る/スズキ・カプチーノ (記事記載:2007年5月1日)
 
 前回、前々回と、車のモデリングのアプローチ方法を、大雑把に2種類ご紹介しました。
 細かなパーツのモデリングは詳しく述べなかったので、内装や主パーツのモデリングを今回からチャレンジしましょう。
 今回は、スズキ・カプチーノの内装をモチーフに、モデリングしてみましょう。
 
 
 
 ①車をモデリングする時と同様、車の図面や写真などのデータをなるべく数多く入手しましょう。実車を見れれば、よりベター。
  CGモデリングの基本は、一にも二にもよく観察することです。とにかく良く見る事、観察、観察、観察!
  
どう言う形をしているのか、質感はどうか、ディテールはどうなっているのか、すべては観察から始まります
  幸いにも僕は、カプチーノ・ユーザーでカプチーノ・フリークなので、資料は豊富です。上の画像はその一部です。
  皆さんも、自分の好きな車から始めるととっつき易いかもしれません。好きこそモノの上手なれ・・・です。
 
 
 
 ②さて、今回の主目的は内装モデリングなので、車のボディのモデリング自体は省略し、(参考用に)大雑把な作業段階別の画像を載せます。
  (※車の外観のモデリングの詳細は、前回と前々回を参考にしてください。基本的な作り方は、同じです)。
 
 エッジの処理について

 
 
 
 ③各パーツのモデリング作業に入る前に、モデリングでの基本事項、エッジの処理について記しておきます。
  モデリングはとにかく"見ること"すなわち"観察"から始まる事を述べました。周辺のオブジェクトを眺めましょう。
  机、パソコン、電話・・・そのエッジを観察しましょう。一つとして、完全に直角のエッジなど無いことに気がつきます。
  最も単純な形の子どもの積み木でさえ、その角は少し丸みを帯びています。これはとても重要な事実です!
  車も同様で、ボディ、ペダル、ミラー・・・どこを見ても、
エッジが直角のパーツはまず存在しません
  つまり、ボディ、内装パーツ、外装パーツを作る時、エッジの処理に気をくばる必要があります。
  僕はパーツをモデリングする時、必ず何らかのエッジ処理を行います(※直角にする場合は必要がある時だけです)。
  エッジ部分をベベル処理するか、ラウンド化する等の処理を、たいていのオブジェクトで施しています。
  エッジ処理に手を抜くと、リアリティが損なわれますので、細かい点ですが丁寧に処理しましょう。
  下記以降のパーツ作成の記事は、エッジ処理について一々触れていませんが、最終的にエッジの処理を施しています。
  (※完成した個々のモデリング・パーツの画像を見ると、エッジが直角な部分はほぼ無い事が分かると思います)。
 
 セミバケット・シートの作成

 
 
 
 ④さて、内装パーツですが、まずはシートから作成しましょう。シートには、ベンチシート形状からバケットタイプまで色々とあります。
  カプチーノは、セミバケットタイプのシートです。まずはボックスを7つ、上の左図のように作成します。とりあえずシートっぽいです。
  ただし、
左右対称形は片面だけ作成し、最終的にミラーコピーでOKです。ボックスを作った段階で、サーフェス名を付けるのを忘れずに。
  セミバケット形状に近づけるため、サイド部分をナイフツール等で分割します(※初めから分割されたボックスを作っておいても良いです)。
  腰部分のサポート部分を作るため、ベベルツールないし押し出しツール等を使って、上記右図のように押し出します。
  次に腿部分のサポート部分を作るため、ポリゴンを選んで上記右図のように移動します。少しセミバケットシートに近づいてきました。
 
 
 
 ⑤次は、臀部と背中部分のクッション部分を作ります。段段の部分を作るわけですが、まずその部分をナイフツールなどで分割します。
  分割したら、クッション部分をベベルツールや押し出しツール等で押し出します。
 
 
 
 ⑥大まかな形が整ったところで、いよいよ仕上げに入ります。より実際のシート形状に近づくよう、ポイントを整えていきます。
  シートの形状が整ったら細分化し、シートの完成です。どれだけ細かく作りこむか、細分化するかは、使用目的によります。
  もちろんポリゴンをたくさん使用した方が美しい仕上がりににるのは自明の理ですが、
  オブジェクトのポリゴン数が多すぎると、後でシーンのレンダリング時に苦労する事になる事があります。
  遠景用であれば、低ポリゴン数で良いでしょう。カメラがかなり近寄るのなら、それなりのポリゴン数を使ってモデリングします。
  (僕は基本的にポリゴン数の極力少ないモデリングを心掛けていますが、目的によってはかなり細かく作りこむこともあります)。
 
 ステアリングの作成
 
 
 
 ⑦次はステアリング(※一般に言うハンドル)を作ります。まず、ディスクを一つ作ります。
  この
ディスクを回転体ツールを使って、360度の輪にします。輪の分割数は使用目的によりますが、24~36位で十分でしょう。
  サーフェス名も忘れずに付けましょう。
 
 
 
 ⑧次は、ステアリングのスポーク部分を作ります。スポークは、ボックスツール等で作成するのも有りです。
  カプチーノは一体型なので、
輪の一部を選択して、押し出しツールでスポークを押し出します
  ステアリングのセンター部分は、
ボックスを作成し、ナイルツールで分割し、ポイントの移動やベベルツール等で整形します。
  これでステアリングの完成です。どこまで細かく作りこむかは、シート同様に、使用目的によって異なります。
 
 インパネ&メーター周りの作成
 
 
 
 ⑨ダッシュボード、インパネ、メーター作成に移りましょう。まずは、ダッシュボードの作成から。
  ボックスを一つ作り、
ボックスを分割します(もちろん初めから分割されたボックスを作成してもOKです)。
  
メーターの納まる部分のポリゴンを移動します(中央の図)。実写に合うよう整えて、細分化して完成。
 
 
 
 ⑩次はダッシュボード下の作成です。ボックスを作ります。分割やベベルで形を整えていきます。
 
 
 
 ⑪メーター周りの作成です。ディスク作成ツールで、楕円を一つ作ります。
  楕円の下のポイントを削除します。次に、メーターを収めるため、
ドリルツールで穴を開けます
 
 
 
 ⑫メーターを収めるインパネは、一枚のプレート(ボックス)から整形します。インパネのカーブは、ダッシュボードに合わせます。
  どこまで作りこむかは使用目的によりますが、ここではブーリアンでカットし、エアコン吹き出し口までは作っています。
  メーターの中の数字やランプや針は、遠景や中景用程度なら細かく作りこむ必要はないかもしれません。
  僕はカプチーノ・フリークの名に恥じぬよう(笑)、右図のように細かく作りこんだメーターもモデリングしました(針は可動)。
  これでインパネ周りは完成です。
 
 センターコンソールの作成
 
 
 
 ⑬最後にセンターコンソールの作成に入ります。ここまでの技術をおさらいすれば、容易にモデリングが可能です。
  基本は、ボックスを作って並べます。後はベベルや押し出しやブーリアン等を駆使し、形を整えていきます。
  シフトレバーやサイドブレーキ等のスティック状のパーツは、シリンダー(ディスク)から作成し、それぞれの位置に配置します。
  しつこいようですが、どこまで作りこむかは使用目的によって異なります。ここでは、中程度の作りこみにしてあります。
 
 
 
 ⑭ここまで作った内装パーツを組み合わせて、カプチーノの内装の主要部の完成です。
  実際のパーツはもっと多いわけですが、(基本的なモデリング技術は同じですので)必要に応じて作ってみてください。
 
 
 
 ⑮完成した内装モデリングデータを、ボディに配置してレンダリングしたのが上の画像です。
 
 
 
 ⑯完成した"スズキ・カプチーノ"です。
 
 
 
 ⑰完成したCGモデリングデータをシーンの中に置いてレンダリングしたのが、上の画像です。
  (ライティングや合成処理は今回のTIPSの主旨ではないので省きます)。
 
 次回は、車の外装関係のパーツをモデリングしてみましょう。
 

 2019年2月8日追記:カプチーノを実写背景に配置してみました。