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 VFX10:3Dマッチムーブ(3Dモーショントラッキング)    (記事記載:2019年 9月 6日)
 
 今から5年前に、ベーシックな2D(平面)のモーショントラッキング及びマッチムーブの解説記事を取り上げました。
 ⇒2Dモーショントラッキング&マッチムーブについてはこちらを参照ください。
 今回は、更に高度な3次元空間を移動するカメラの、3Dモーショントラッキングとマッチムーブの方法について解説します。
 最近流行りのドローンの空撮動画などもそうですが、カメラが3次元空間を移動して撮影しますので、
 2Dモーショントラッキングだけでは対応できません。
 今後は、3Dモーショントラッキングがますます必要&重要になるでしょう。
 最近は多くのソフトで2Dのモーショントラッカー機能を取り入れていますが、本格的な3Dトラッキング&3DCGのコンポジットは、
 優れた専用ソフトウエアが高価で技術のハードルも高く(3Dモーショントラッキングを専門・メインとしている会社もあるほどで)、
 大作映画やCMならともかく、一般的な限られたバジェットのプロジェクトでは、気軽に発注するにはまだ敷居が高いと言えるでしょう。
 前回の解説に使用したAfterEffectsでも、3Dカメラトラッカーは使用できますが、
 平面画像や文字などのマッチムーブには適していますが、立体の3DCGアニメとの融合には技術的に難しい面があります。
 (将来的に、C4D以外の3DCGソフト用にカメラのモーションを書き出せるようになれば良いのですが)。
 今回は、そんなちょっと敷居が高い3Dモーショントラッキング&マッチムーブの方法について解説します。
 
 
Ⅰ. 動画の撮影とVoodooへの読み込みトラッキング処理
 

 まずは、動画を用意します。前回はカメラをパンニングした平面移動動画に、平面の文字をマッチムーブさせただけでした。
 今回は、上方から下方を見下ろし、かつカメラの位置や角度が移動している動画を撮影しました。
 (尚、動きがあまりに激しくターゲットポイントが画角からすぐに外れてしまう動画とか、ボケている動画などは適していません)。
 これを、アフターエフェクツ(もしくは編集ソフトなど)に読み込んで、Voodoo用に連番ファイルに書き出します。
 今回はVoodoo(ver.1.2)と言うソフトウエアを使用します(※Beta版なのでトラブルなどは自己責任です)が、
 このソフトで読み込める動画フォーマットは、TARGA(.trg)もしくはPNG(.png)の連番ファイルのみです。
 Voodooを起動します。
 
 
 
 次に、動画の連番ファイルを読み込みます。今回は、PNGファイルにしました。
 読み込みには、"Interlace"選択BOXでノンインターレース、ないしインターレースのフィールド形式を選択します。
 自分が撮影した動画の形式を選択します。
 
 
 
 続いて、"Move type"選択BOXで、三脚使用か、手持ちのフリームーブかを選択します。
 今回は手持ちの移動撮影なので、free moveを選択。(ドローンの空撮などの場合もfree moveで良いでしょう)。
 
 
 
 下段の"Track"ボタンを押すと、3Dモーショントラッキング処理がスタートします。
 トラッキングのターゲットに抽出された多数のポイント(下記画像ではグリーン)をトラッキングする処理が開始されます。
 
   
 
 トラッキング処理を終えましたら、カメラのモーションデータを、3DCGソフト用に書き出します。
 このVoodooの優れたところは、3D-MAX、Blender、Lightwave3D、Maya,Softimage3Dなどのメジャーな
 ソフトウエアへの書き出しが可能となっている点です。私は、LightWaveで書き出します。
 (※Voodooには他にも種々機能があのですが、本解説の趣旨から外れるので割愛します)。
 
 
 
 
Ⅱ. LightWave3Dでの作業
 
 Voodooで書き出したカメラのモーション(※シーンファイル)をLightWave3Dに読み込みます。
 Voodooで使用された多数のターゲットポイント(下記のブルーの点)と、カメラのモーションデータが読み込まれます。。
 
 
 
 カメラの移動データをグラフで確認します。きっちりとトラッキングされていることが確認できます。
 
 
 
 LightWave3Dの背景に、Voodooで使用したの同じ動画の連番ファイルを読み込みます。
 
 
 
 次に3D空間に、3Dオブジェクトを配置します。同様にライトも配置して調整します。
 (※オブジェクトの配置に(レンダリングはしない)参照用の地面などを置くと、配置がしやすいでしょう)。
 留意点は、Voodooのデータはあくまでトラッキングデータなので、3DCGのシーンのサイズには合っていません。
 なので、サイズは全て3DCGソフト側で調整する必要があります。
 
 
 
 このシーンを背景透明(αマスク付き)の連番データでレンダリングして、AfterEffectsで合成して完成です。
 なお、今回はマッチムーブに絞って解説していますので、背景に影を落とすなどの処理は行っていません。
 ⇒背景に3DCGオブジェクトの影を落とす方法はこちら!
 実写と3DCGがきっちりマッチムーブしたシーンは、下記の動画で確認できます。
 
   
 
 以上、3Dモーショントラッキング&マッチムーブ解説でした。
 今後、より本格的な3Dマッチムーブのデジタル動画が完成しましたら、こちらのページににUPいたします。
 
 
2019年9月11日追記:3Dモーショントラッキング&マッチムーブ動画その2を公開しました。
 「自転車移動」かつ「手持ち撮影」と言うトラッキングのハードルが高い動画での3Dモーショントラッキング&マッチムーブです。