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 DVD作成についての基本ルール   (記事記載:2003年4月27日)
 
 先日(2003年4月)、初めてデモビデオをDVD化しました。
 
 
←これです
 
 今まではVHSテープでデモテープを作っていたのですが、VHSは作成から配布に至るまで、手間もお金もかかりました。
 DVDはコピーの手間もVHSより楽で、かつディスクなので薄く、VHSのようにかさばらず郵送費が安くて助かります。
 楽でコストも安くすむ一方、お手軽なワンタッチのビデオダビングと違い、DVD作成にはそれなりの知識が必要となります。
 今回は、このデジタルワーク上の最低限のルールを説明しましょう。
 ただし詳細な事項を上げると膨大な量になりますので、このページではDVD作成ルールのエッセンスだけ抑えます。
 
 ①DVDとは何か?
 
 DVDと言う言葉を聞くと、デジタル・ビデオ・ディスク(Digital_Video_Disk)の事だと勘違いしている人も未だ多くいます。
 が、正しくは
デジタル・バーサタイル・ディスク(Digital_Versatile_Disk)です。バーサタイルとは、"多用途"と言った意味です。
 ですから、ビデオ映像だけでなく、写真、文章、音楽、プログラム、何にでも使えるし、使ってよいのです。
 私達が日ごろ視聴しているDVDビデオは"DVD-ROM"と言われるものですが、コンシューマー向けのDVD規格は数種類あります。
 我々が日常でPCやレコーダーで使用するDVD規格は、このコンシューマー(一般消費者)向けのものです。
 このコンシューマー向けのDVDの規格は、二つの団体によって定められていて、次のような種類があります。
 1つが、DVDフォーラム(パイオニアや松下電器などが推進し、世界200社以上が加入)で、
DVD-Rや-RWなどがそうです。
 もう一つは、DVD+RWアライアンス(リコー、HPなどが推進し世界主要8社からなる団体)で、
DVD+Rや+RWがそうです。
 他に、松下電器の
DVD-RAMと言うのもあります。
 この中で、最もDVD-ROMとの互換性が高いものはDVDフォーラムのフォーマット、すなわちDVD-Rや-RWです。
 (※そのような理由で、当工房ではDVD-R、-RW対応のレコーダーを使っています)。
 "-"と"+"の間に互換性はないので、対応しているレコーダーを所有していないと取り扱えません。
 私も先日、間違ってDVD+Rのディスクを買ってしまい、事務所に戻ってから間違いに気がつき一枚無駄になりました(笑)。
 

 
 ②DVDにレコーディングする際のルール
 
 さて次に、DVDを作成する際のルールについて記します。
 
 
1.DVDの容量
 DVDの容量は一般に4.7GB(ギガバイト)とされていますが、
実際には4.37GBしか入りません
 これは、DVDの表記がコンピューターの2進法ではないからです(※本当は1GB=1,000MBではなく、1,073MB)。
 なので、私達がDVDビデオを作成する際には、この容量に収まる映像の尺と品質に圧縮しなければなりません。事前の計画が必要です。
  
 
2.DVD用のビデオの圧縮方法
 DVDの限られたディスクスペースに長時間の映像を納めるには、とうぜん圧縮が必要です。
 市販のDVDビデオ用の映像コンテンツは、MPEG2方式で映像を圧縮します。圧縮方法には、主に2タイプあります。
 1つは、
CBR(Constant Bit Rate)と呼ばれる固定レートの圧縮。映像の内容に関係なく、一定のビットレートで圧縮します。
 もう1つは、
VBR(Variable But Rate)呼ばれる可変レートの圧縮。映像の内容に合わせてビットレートを変更します。
 ビットレートが高い方が画質はきれいになりますが尺は短く、ビットレートが低いと映像収録は長尺になんりますが品質は落ちます。
 DVD-Videoの規格では、9.8Mbpsまで許容されていますが、実際には8Mbps以内の設定が良いようです。
 (※私自身は現在、CBRであればだいたい5~7Mbpsに設定しています)。
 販売用のDVDディスクは、一枚のディスクに美しい映像を収録するためにVBRを利用して、圧縮の度合いを上手く変えているようです。
 
 音声についても、ルールがあります。DVD-Videoでは、
オーディオのサンプリングレートは48KHzと決められています。
 コンシューマー向けのDVD-Videoでは、音声は最終的に非圧縮であるリニアPCM方式に変換されてしまいます。
 一部の市販ソフトには、音声を圧縮方式である"Dolby Digital"方式に変換できるものもありますが、
 極力、周波数変換などの余計な工程を挟まない方が、より高音質な作品を作る事ができます。
 
 3.DVDディスク上の複数のファイルシステム
 古いPCが減りつつあるのであまりこだわる必要が無くなるかもしれませんが、念のためにファイルシステムについて。
 すべてのDVDには、UDF(Universal_disc_format)ファイルシステムとISO9660ファイルシステムの少なくとも2種類が含まれます。
 これらのファイルシステムは、コンピュータで表示される場合にDVD-ROMのファイル名がどのように表示されるかを定義しています。
 UDFファイルシステムを使用すると、ファイル名に最大255のUnicodee文字を使用できます。
 すべての最新コンピューターOSはUDFファイルシステムを読み取れますが、Win95などの古いOSはISO9660ファイルシステムを
 読み取ります。ISO9660では、ファイル名は8+3文字に制限されます。また、数字・大文字のASCII文字とハイフンしか使用できません。
 さらに、フォルダは最大で8階層までしか読み取れません。
 と言うわけで、古いシステムでDVD-ROMを使用できるようにするには、8+3文字のファイル名を守る必要があります。
 (※ISO9660制限を回避するには、ディスク作成時にJolietファイルシステムを含める…Win95のみで機能する。詳細略)。
 
 
 ③DVDビデオ作成の際のミニTIPS
 
 時折、知人からDVD作成について、質問を受けることがあります。その中で、2回ほどおなじ質問を受けたのでここに記しておきます。
 「DVDビデオ用のデータを作ってビデオに書き込んだのだけど、プレーヤーで再生できない。何故だろう?」と言う質問です。
 DVDビデオ用のデータを作ると、「AUDIO_TS」と「VIDEO_TS」と言う二つのテープシステムのフォルダーが作成されます。
 データは全部「VIDEO_TS」に入っていて、
「AUDIO_TS」の方は常に"空"です。
 "空"なので必要ないだろうと判断して「VIDEO_TS」の方しかDVDに書き込まないと、再生できなくなります。
 
「AUDIO_TS」と「VIDEO_TS」は、とも両方必要ですので、必ず両方ともDVDにレコードしましょう。
 上記の2回の質問は、いずれもこれが原因でした。
 
 
 さて、ざっとDVD作成の際のルールのエッセンスを取り上げました。
 これからは、もっと多機能なDVDを作成したり、より大容量のメディアが登場したりするでしょう
 ビデオテープの変遷と同様に、このDVDビデオも過渡的なものかもしれませんが、まだ数年はDVDビデオの時代が続くと思います。
 

 2004年5月追記:
 DVD用メディアには、データ用(for DATA)とビデオ用(for Video)のタイプがでました。
 ビデオ用は、CPRMと呼ばれるDVDレコーダーに採用されている著作権保護技術に対応したディスクです。一回録画できます。
 ビデオ用は私的録音保証金を含むもので、要はテレビ番組などを録画する時の権利料を含んだものと考えれば分かりやすいでしょう。
 しかしデータ用ディスクであっても、自分で作ったCGアニメやビデオは普通にレコーディングできます。

 

 引用および参考文献:
 DVD-itユーザーガイド (SONIC)/キミにもできるDVD (インプレス)/CGワールド誌 他