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基礎技術テーマ:ライティング技法 1/基礎編
(記事記載:2008年5月8日)
過去、モデリング、そしてテクスチャー・マッピングについて学びました。
さてこうして完成したオブジェクトを、実際のシーンに置いてCG画像を作っていきます。
オブジェクトの配置、オブジェクト動き、カメラワーク、ライティングを施していく事になります。
中でも、重要な要素の一つがライティングです。ライティングが変わると、画像の雰囲気が大きく変わります。
今回は、以前作成した人物オブジェクトをライティングの対象物にして、ライティングの基礎について考えましょう。
①1灯でライティングの特性を学ぶ
1.正面ライト
前方からライトを1灯当てると言う方法は、CGではほとんど使いません(※特殊な目的の時にのみ使った事はありますが)。。
実世界では一般的に頻繁にあり、例えばデジカメでストロボ(フラッシュ)撮影すると、上のような画像になりがちです。
また、たった一灯の光源のみで現場に潜入しなければならないドキュメンタリー番組では、こんな画像になりがちです。
正面からライトを当てると撮影対象物が
フラット
になって、凹凸が消え立体感が消失します。CGでは、避けるべきライティングです。
2.横ライト
次は、ライトを横に移動して当ててみます。フラット感は消え、1/2(半分)が照らされた形で、とりあえず立体感は出ました。
しかしこのライティングの使用が想定されるシーンはあまり無いでしょう。これも避けたいライティングです。
3.上部ライト
今度は、ライトを上に移動して対象物を照らしてみます(※トップ・ライト)。かなり劇的な効果が得られます。
主人公が復讐を誓うシーンとか、天啓を与えられるシーンとか、劇的効果を狙ったシーンでは時折使われていますね。
4.下部ライト
さて、次は下からライトを照らしてみます(※ステージ・ライト)。これも劇的な効果が得られますね。
子どもの頃、懐中電灯で自分の顔を照らした経験は誰にでもあると思いますが、かなり恐ろしい表情を得られます。
(コメディであえてこのライティングを使い逆に笑いを誘うシーンも、ある映画で見かけましたが)。
5.後部ライト
ライトを後部から当ててみます。バックライトは、背景から対象物の輪郭をくっきりと浮き彫りにするのに役立ちます。
メインで単独で使うライティングではなく、キーライトに対して補助的に使用されるライティングです。
しかし、敢えて表情を見せない事で、人物の心象(怒りに震える、悲しみに耐えている等)を浮かび上がらせるのに役立つこともあります。
6.前方斜め上ライト
最後に、ライトを斜め上前方から照らしてみましょう。
劇的な効果は得られませんが、かなりオーソドックスな画像が得られるようになりました。
立体感も得られ、表情も良く分かります。劇的な効果は特に無く、ニュートラルな表情を得られます。
②複数のライトを使用する
1灯のみ使って、ライティングの特性をざっと見ました。しかし、1灯だけでライティングが済む事はまず無いでしょう。
実際には複数のライトを用いて、シーンを構成します。そこで、基本的な3ライトによるライティング例を挙げておきます。
まず斜め前方上から
メインライト(もしくはキーライト)
を照らします。1灯ライトで見たように、それだけでは反対側に濃い影が生じます。
その影を消すために、反対側下から光量を弱めたライトを当てます(
フィル・ライト
)。
次に、輪郭をくっきりとさせるために、背景から
バックライト(もしくはリムライト)
を当てます。
これが、一般的と言われる基本の3ライトです。
"基本"と言っておいて何なのですが、実際のCG制作においては、この基本的なライティングだけで済んだ試しはありません。
ライトの種類、ライトの個数、ライトの光量、ライトの色、ライトの効果等々、シーンごとに様々なライティンを駆使しています。
例えば、下のCGは(今から7年も前の古いCGですが)、基本的な複数のライト設定の他、後方の暖炉に炎用の光を設定しています。
一例としてこの暖炉用の光のTIPSを書くと、だいたい下記のような感じです。
炎の
光源に赤
を適用し、炎の強弱に合わせ、
光量を細かく増減
しています。その
光がヒゲを微かに透過
して、
ヒゲが赤く明滅
しています。
また赤い光が、キャラクターの後部のエッジを際立たせています。
←複数ライティングの適用例
ライティングは奥が深いので、一朝一夕でライティングをマスターする事は不可能です。
ライティングの基礎を学んだら、色んなライティングを試して経験を積んでいく事が必要でしょう。
次回も、引き続きCGのライティング技法について学びましょう。