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 基礎技術テーマ:アニメーションの基礎 3/キャラクターアニメ1/階層構造   (記事記載:2009年6月26日)
 
 今回は、キャラクターアニメーションに必要な、階層構造とインバースキネマティクスについて学びましょう。
 
 
①階層構造について
 
 階層構造(別名ヒエラルキーとも呼ばれる)は、キャラクターアニメーションにはかかせないものです。
 下の図をご覧下さい。私がモデリングした一台のロボットです。
 
  ロボット・オブジェクト
 
 このロボットのパーツは、ボディから指先に至るまで、計55ヶ所の個々のパーツで構成されています。
 どのような構造になっているか、例として、右腕をクローズアップして見てみましょう。
 
  右腕のクローズアップ
 
 腕の付け根から指先まで、部所パーツごとに線を色分けしました。このロボットの腕は、総計18個のパーツでできている事が分かります。
 肩に
上腕が付き、次に肘下の前腕が付き、その先に手の平が付き、その先に5本の各指の第一関節が付き、第二関節、第三関節と続きます。
 これが、
階層構造です。この階層による一連のつながりを(鎖のようにつながっているので)、チェーンと呼びます。
 同様に胸部から腰、首から頭、脚(大腿&下腿)から足なども階層構造になっています。通常キャラアニメは、このような階層構造です。
 これは、人間や動物などのキャラクターのボーンの階層構造も同様です(※ボーン自体については、次回取り上げます)。
 
 ②インバースキネマティクス
 
 さて、多くのキャラクターアニメでは、この階層構造を用いてアニメーションを作っていきます。
 階層構造をアニメートさせるには、前回説明したキーフレームによる方法と、インバースキネマティクスによる方法とがあります。。
 
 (1)→(2)→(3)
 
 まずは、キーフレームによるアニメーション作成について簡単に触れましょう。上の図をご覧下さい。
 大腿部を回転させてキーフレームを打ちます(1)。階層組織のため膝から下も一緒に持ち上がりますが、真っ直ぐなままです。
 そこで、次に膝下の脚も回転させてキーフレームを打ちます(2)。同様に、足首も回転させてキーフレームを打ちます(3)。
 これで、脚を持ち上げるシンプルなアニメーションができました。
 しかし、このような方法でアニメーションを作っていくのは、(不可能ではありませんが)たいへんな時間と苦労が伴います。
 実際にこの方法で長距離を歩くアニメを作った事がありますが、手間と時間がかなりかかりました。
 そこで次に説明するのが、
インバースキネマティクス(※通称IK)と言う方法です。
 IKは、階層組織を利用してオブジェクトを操り人形のようにアニメートする方法です。
 IKは、Nullオブジェクトや末端のオブジェクトを
Goalに設定します(※通常、IKゴールはチェーンの末端に設定されます)。
 
  
IKによる階層構造の追従
 
 上記の図は、NullオブジェクトをIKのゴールに設定し、Nullの動きや回転に、脚の各部がそれに追従するように設定されています。
 ゴールを動かすたびに、足が操り人形のように動きます。ただしIKの設定には、大きな注意点があります。
 IKが効果を及ぼす範囲を設定しておかないと、おかしな挙動を示します。
 それぞれのパーツの
回転(ヘッド、バンク、ピッチ)角度の限界を指定しておかないと、脚がおかしな方向に折れ曲がるようなことが起こります。
  詳細なIKの設定方法は、ソフトウェアによって違いますので、各CGソフトウェアのマニュアルを参照してください。
 
 階層構造とIKを使用して作ったのが、下記のGIFアニメです。
 
 
 
 以上、階層構造とIKによるキャラクターアニメーションの概略でした。
 次回は、ボーンとボーンウェイトを使ったアニメーションを学びます。