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 基礎技術テーマ:モデリング講座その8
 キャラクターのモデリング・4 リアルな人間の体をモデリングする (記事記載:2010年10月18日)
 
 さて、顔のモデリングから3年経過してしまいましたが、(記事を書く時間ができましたので)次に進みます。
 顔のモデリングに引き続いて、今回は人間の体のモデリングのTIPSを載せますのでモデリングの参考にしてください。
 車や顔のモデリングの時も述べましたが、図解や資料、写真をなるべくたくさん揃えて参考にしましょう。
 体の場合は、特に筋肉の配置や流れ、各部の大きさや比率などは重要です。
 
 
 ※自作の資料の一部
 
 前回の顔のモデリングは女性でしたので、今回は男性の顔と体のモデリングを行います。
 ただし、顔については、顔のモデリングのTIPSを参照いただき、本章では顔については大まかな段階別のモデリングを載せます。
 (※尚、これまでのモデリング解説で使用したテクニックは修得しているものと仮定して、ツールの具体的な使い方は省略します)。  
左画像/直方体をモデリングします。

右画像/直方体のポイントを動かしながら、顔の輪郭に近づけていきます。
左右対称にモデリングするので、対称ツールで作業を行うか、もしくはナイフツールでセンターでカットして片面だけで作業を行うと効率が良いです(※左記例示では左右両面を表示しています)。
  
左画像/大まかに輪郭を整え終わり、後頭部から首筋にかけて細分化して整えたところです。首の前部は、この後別途モデリングするのでカットします。

右画像/首から顎のラインまで、筋肉の流れに沿うようにポイントをつないでいってポリゴンを形成し、首の前部も作ります。耳の部分は、後から耳のパーツを作ってつなぎますので穴の開いたままにしておきます。同様に、顔のパーツも別に作りますので、顔前部のポリゴンも削除します。
(※リアルでないキャラ系の顔は、顔の部分を押し出し&加工して作る事も多いですが、今回はバッサリとカットします)。
  
左画像/別途モデリングした目、鼻、口、耳を所定の位置に配置します。
※それぞれのパーツのモデリング方法については、顔のモデリングを参照してください。

右画像/顔の筋肉の流れに合うように、顔とパーツをポリゴンでつないでいき、細部のポイントを移動して整え、顔のモデリングは完成です。
この顔は、体が完成した後に体とつなぎます。
  
 ①さて、いよいよ体のモデリングに入ります。今回は、なるべく少ないポリゴン数でリアルな体を目指しましょう!
  (※ポリゴン数管理に気を使うのは、強力なパフォーマンスを持たないPC環境でのアニメ制作を考慮しているためです)。
  車のモデリングの際にも(具体的に二つのパターンを示して)、モデリングのアプローチが複数あることを述べました。
  人物のモデリングも同様です。輪郭線を作成して面(ポリゴン)を貼っていく方法、BOX型から始める方法もどちらも可能です。
  今回は、BOXから始めるアプローチを取りましょう。下記のようなBOXオブジェを一つ作ります。
  
 
 ②BOXオブジェから、腕や脚に当たる部分を押し出しツールで押し出しましょう。
  この際に、背景の3面図に参考用の人物の写真を表示しておくと良いでしょう(※この章では画像が見づらくなるので省略しています)。
  また、実際のスケールに合わせて作業します。ここでは頭の部分を除いて、高さ150cmに設定しています。
  それから、ポイントを移動して、ザックリと人物の形に近づけます。
  この後、すべて左右対称で作業しますので、センターから体をナイフでカットし、片側だけで作業を進めていきます。
  (※要所要所で左右両側を表示して、確認しながら作業を進めましょう)。
   
 
 ③体各部の関節部が曲がるように、股、腕、脚などの関節部分を下記のようにナイフで細分化していきます。。
   
 
 ④ナイフツールやバンドソーなどのツールを使って細分化し、ポイントを移動して形を整えていきます。
  膝の部分は膝部分のポリゴンを削除した後、六角形のオブジェクトを追加してポリゴンをつなぎ膝の皿を作ります。
  筋肉の流れを意識して、胸や肩甲骨、腕の付け根、腹筋周辺のポリゴンを増やして形を形成していきます。
  上腕から下腕にかける筋肉の流れに沿うように、回転やポイントの移動でポリゴンの位置を整えていきます。
  背中側も、同様に臀部や僧坊筋などを形成します。
     
 
 ⑤左右両面を表示して、サブパッチ化してチェックします。体の"大まかな形"が出来上がりました。
   
 
 ⑥次に手をモデリングしてます。下記左図のようなBOXを作ります。BOXから指に当たる部分を押し出しツールなどで押し出します。
  その後、ナイフツールやバンドソーツールなどで指の関節部分を作っていきます。
  親指は手の真横から下方に移動して、3番目の図のような位置に移動します。不都合な部分は、ポリゴンを削除して貼り直します。
  最後に、拳の部分をカットして(膝の作成を参考にして)4つの拳を作成し、5つの爪を加えて手の完成です。
     
 
 ⑦手の次は足の作成に移ります。
  手の例のようにBOXから作っても良いですが、体のモデリングの際に作った足の部分を流用してみましょう。
  しかし、この足のままではあまりにざっくりしていますので、ナイフツールやバンドソーツールで細分化していきます。
  指の部分は5つに分割して、押し出しツールなどで押し出します。その後、ポイント移動などで、足の形を大まかに整えます。
  大よその形が整ったら、くるぶしや爪などを加えて足の完成です。
    
 
 ⑧この完成した手と足のパーツを、ポリゴンを形成して体につないでいきます。
  
 
 
 ⑨こうして、体のモデリングは8割がた完成です。
  冒頭で、少ないポリゴン数でリアルな体を目指すと書きましたが、この体の総ポリゴン数は"2,252ポリゴン"と少なく抑えました。
   
 
 ⑩よりリアリティを求めるため、各部の筋肉などのディテールを付け加えていきます。
  ナイフ、バンドソー、ポイントの移動、ポリゴンカット、ポリゴン形成で、筋肉の流れをモデリングしていきます。
  こうして完成したバージョンでも、総ポリゴン数は"2,806ポリゴン"とかなり抑えたデータ量です。
  もっと筋肉のディテールが必要な場合は、ポリゴン数を増やしてコツコツと作業を続けますが、この章ではここまでの作業とします。
    
 
 ⑪完成した体に、冒頭で作成した顔(首)をポリゴンを貼ってつなげて、完成です。
  
 
 ⑫ボーンを仕込んで(→ボーンの設定はこちらを参照)、レンダリングしたのが下記の画像です。
  (※下記の画像には、髪の毛やマッピングの適用などは一切行っていません)。
  
 
 以上、リアルな人間のモデリングTIPSでした。
 

 2010年11月15日追記:1世紀中ごろから後半のローマ軍団兵を作成したので、UPします。
 
 
 
 モデリングデータに人体のUVマッピングを施し、衣服、鎧、兜、楯、剣、槍などをモデリングして付け加え、作成しました。
 
 
 

 2015年1月26日追記:幼児のCGを作成しました。赤ちゃんや幼児は、各部の比率がちょっと狂うだけで違和感が出るので細心の注意が必要です。
 (制作して分かりましたが、赤ちゃんや幼児のCGは美少女系CG等と比較すると制作実例がかなり少なく、資料集めの段階からたいへんです…)。