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VFX2:CGと実写合成の基本2・実写とCGの合成
(記事記載:2014年 2月27日)
前回は、「①CGの背景に実写を合成」と「②実写の背景にCGオブジェクトを合成」のうち、①を取り上げました。
今回は、①と逆に②の実写素材にCGを合成するシーンを考えます。
また、今回は3DCGソフトのライトウェーブのみを使用します。
(※合成の基本的な"考え方"ですので、今回のシーンの具体的な設定数値は省かせていただきます)。
では、スタートしましょう。
Ⅰ.実写画像(ないし動画)の準備
実写素材を用意します。通常は仕事で撮影する素材ですが、今回は合成説明用ですので、私が購入した画像素材を用います。
今回も合成の基本なので、カメラは定点で、移動やパンやズームのないカットを想定します。
(カメラの移動やパンなどが入ると、マッチムーブのモーショントラッキングなど高度な技術や設備が要求されるためです)。
今回は、下記のお洒落なオープンカフェの画像にCGオブジェクトを合成します。
Ⅱ.CGモデリング素材の準備
上記のカフェに、CGの車を合成します。私は、日本の軽スポーツカーが好きなので、今回はコペンを合成したいと思います。
CGのオブジェクトを用意します。モデリング方法は省力します。
⇒コペンのモデリング方法を知りたい時はここをクリック!
この際に、実写素材とあわせるため用のグリッド化された壁と地面も一緒にモデリングして、用意します。
地面のグリッドの間隔は、今回1メートルに設定しています。壁のグリッドはより詳細に、細かいグリッド45cmにしています。
また、後で説明しますが、半球形(今回は1/4球形)のドームオブジェクトも用意します。
Ⅲ.合成作業
3DCGソフト(ここではライトウェーブ)に、CGオブジェクトと実写画像を呼び込み、背景画像に設定します。
壁や地面には、背景画像をプロジェクションマッピングししておきます。
(ライトの影響を受けて画像の濃度が変わらないように、後で行うライト設定のOFFなども忘れずに!)
カメラの位置や角度を、背景のパースに一致するように設定し、壁や窓枠の水平線とCGグリッドの水平線を合わせます。
同様に、画像の柱や窓の垂直線とCGグリッドの垂直線を合わせます。水平と垂直が一致したら、構図&パースの完成です。
モデリングで壁用のグリッドを45cmに設定したのは、椅子の高さを凡そ45cmと目安を付け、CGとの大きさを合わせるためです。
。
パースの設定を終えましたら、次は、ライティングの調整です。
実写の光の強さ、影、方向に合うように、一つ一つのライトを設定していきます。今回は、5つのライトを用いました。
ライトは地面に影は落としますが、地面や壁の画像濃度を変えないように,地面と壁への影響はOFF設定にします。
ライティングの雰囲気を確かめるために、ワイヤーフレームから、テクスチャ・ソリッドなどのリアルな表示に切り替えると良いでしょう。
これだけでも、下記の図の様に、光の方向や強さなどの雰囲気が大まかにつかめます。
次にレンダリングしてみて、地面にどのように影が落ちているかを確認します。
椅子やテーブルの影と、車の影の方向や角度や濃さが一致するように、ライトを調整します。
完成に近づきましたが、最後に車への風景の映り込みを加えましょう。実際の映り込みは、このカフェの対面の画像が必要となります。
自分で撮影する場合やロケでEJクルーが撮影するならともかく、今回の様に画像がこれ一枚きりしかない場合は、どうしましょう?
このカフェに似たような(仮想の)対面画像を探すのもありですが、今回はこの背景画像をそのまま映り込みに使用してみます。
下の図のような半球形(ここでは1/4球形)をモデリングして、面を内側にフリップして画像を貼り付けます。これが、車体に映り込みます。
そして、いよいよレンダリングです。レンダリングの際には、影、反射、透過、屈折などの各モードは、ONにしてください。
それを忘れると、地面に落ちる影、ボディやフロントガラスの映りこみ、そしてガラスの屈折などにリアリティが無くなります。
レンダリングして完成したのが、下の画像です。
実際の業務では、地面、影、車体、各マスクなどの画像をバラバラにレンダリングします。
その後、静止画ならフォトショップ、動画ならアフターエフェクツで、微調整をしながら合成を完成させます。
(※今回は、実写とCGオブジェクト合成の基本概念を理解していただくため、3DCGソフトのみで合成を完了させました)。
以上で、2回に渡った「CGと実写の合成の基本」のTIPSを終わりとさせていただきます。
2019年2月8日追記:同様の方法で、カプチーノのCGも作成しました。
2019年9月11日追記:3Dモーショントラッキング&マッチムーブで、動画にCGコペンを合成しました。