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VFX3:マッチムーブ(モーショントラッキング)
(記事記載:2014年 2月27日)
今回は、実写とCGの、マッチムーブについて取り上げます。
実写の撮影と言うのは、カメラを動かしたりします。また、撮影する対象物(車や人などetc.)も動いているかもしれません。
そのような動いている画面や対象物に、CG等を違和感なく合成することを
"マッチムーブ"
と言います。
マッチムーブを適切に行うには、動いている動画の動きを追跡する(トラッキングする)必要があります。
これを、
"モーショントラッキング"
と言います。これをきちっと行わないと、CGと実写が微妙にずれたりします。
私も、走っている車に煙を合成したり、パンをする風景にCGキャラクターを合成したり…など色々なマッチムーブを行ってきました。
かつてマッチムーブは、シンプルなトラッキングであっても、それなりに時間のかかるしんどい作業でした。
それは単純に、ソフトにトラッキングの機能がなかったので、自分で色んな工夫をして対処しなければならなかったからです。
今回もソフトにアフターエフェクツ(CC)を使いますが、今はトラッキング機能が搭載されているので随分と楽になりました。
今回は、アフターエフェクツの2D(平面=X&Y軸)のモーショントラッキング方法について解説します。
(※アフターエッフェクツで3Dトラッキングは荷が重いので取り扱いません)
※2019年9月6日追記:より高度で高価なな3Dモーショントラッキング&マッチムーブ制作解説記事を公開しました。
⇒こちらからどうぞお読みください。
Ⅰ. 動画の準備
実写素材を用意します。今回は動画である必要があるので、ビデオで風景を撮影しました。
手持ちで、カメラの左右方向にパンするHD映像をベランダから撮影しました。今回は、この動画を使います。
Ⅱ. モーショントラッキング作業
アフターエッフェクツ上に、上記の動画クリップを読み込み、「MOTION TRACKING TEST」と言う文字レイヤーを作成します。
今回は、この文字をクレーンの移動に追従させたいと思います。
次に、メニューのアニメーションから「モーションをトラック」を選択します。
動画上に、トラックポイント1と書かれた二つの四角い枠と十字のポイントが出てきます。
この外側の枠をクレーン全体の囲むように広げ、内側の枠をクレーン先端の赤い部分を囲むように、十字カーソルは先端に配置します。
これらのトラックポイントは、画面の動きを分析するために使用されます。分析は、動画の解像度が高いほど時間がかかります。
また、オプションからトラックが「RGB」「ルミナンス」「彩度」のどれを判定基準に使用するかを選択できます。
この例では、空とクレーンの色合い明るさも彩度も違いますから、どれを選んでも問題ないでしょう。
(※トラッキングが難しいのは、色や彩度や明るさの違いがはっきりしない動画です。暗闇で黒いジャンパーを着る人とかは困難です)。
トラックポイントの設定が終わったら、PC画面右の「トラッカー」パネル内の三角の"再生ボタン(再生方向に分析)"を押します。
分析(計算)が始まります。分析が終わったら、適用を押します。どの軸に適用するかの選択BOXがでます。
「XおよびY」「Xのみ」「Yのみ」の3種類が選択できますが、今回は「XおよびY」の両方を選択します。
すると、分析結果に従って、全フレームにキーフレームが打たれます。
Ⅲ. 最終マッチムーブ処理
動画のモーショントラッキングを終えたら、「Motion Tracking Test」の文字をクレーンにマッチムーブさせる最終作業を行います。
文字をクレーン横の希望する位置に配置し、前述の「トラッカーパネル」内の"ターゲットを設定"から当該文字レイヤーを選択します。
そして、適用を押すと、文字レイヤーが動画のトラッキングデータに追従するようにキーフレームが打たれて完成します。
こうして完成しレンダリングしたテスト動画が、下記のビデオです。以上、2Dマッチムーブ方法でした。
Ⅳ. その他のマッチムーブ方法
上記では、左右&上下方向(XY軸)のシンプルな2Dマッチムーブ方法を取り上げました。
しかし、実際の動画はX軸Y軸だけでなく、前後(Z軸)方向の動きもあります。
この3Dのモーションに対応するトラッキングは高価なソフトが必要で、アフターエフェクツでは荷が重いです。
しかし、さほど精細さを要求されない3Dトラッキングであれば、今まで色々な手動の方法をひねり出して実戦のCGで試しました。
今回は具体的には取り上げませんが、複数のポイント画像を使ったトラッキングやマスクを使ったトラッキング等、色々試しました。
機会があったら、これらの記事も書きたいと思います。
今回はXYZの全軸で移動&回転する"写真フレーム"を、マスク処理で追跡するテスト動画を載せて今回の記事の締めくくります。