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VFX14:モノクローム写真のカラーライズ
(記事記載:2019年12月18日)
皆さんも、明治や大正時代の白黒写真をカラー化した写真を見たことがあると思います。
今回は、カラーライズに当たってどのような下準備が必要なのかを記事にしました。
ちなみに、当工房ではカラーライズに当たって目的に応じ、After Effects、Photoshop、CODIJYの3ソフトを使い分けています。
以前、白黒写真(モノクローム画像)をカラー化する方法をUPしました。
⇒こちらをご覧ください。
さて、本題ですが、モノクローム写真とカラーライズするにあたり、何が必要かをまとめました。
Ⅰ.白黒写真をご用意いただく
前提として、写真の所有者にカラーライズの許可をいただく事と、写真をお預かりすることが必要となります。
すでにデジタル化された高解像度画像データがあれば問題ありませんが、お預かりしてスキャニングする場合は注意点があります。
古い写真は貴重な物も多いので、かつ写真用紙が劣化している事も十分考えらますので、慎重な取り扱いが求められます。
特に、写真台紙に貼り付けられていたり、反射するラミネート素材でカバーされたアルバムの写真などは要注意です。
スキャナーによるスキャンが難しい場合は、代替方法として1眼デジカメ等による現物撮影が必要になるかもしれません。
写真をお預かりする場合は、お預かり票と返却票を作成して、サインと日付をいただくのがよろしいかと。
お預かりした写真は慎重に扱うのは当然ですが、偶発的な事故で写真の汚損や破損が起こるかもしれません。
万が一、写真を破損汚損してしまった場合の対応方法や保証内容なども、書面で取り交わしておいた方が良いでしょう。
Ⅱ.カラーの再現性について
さて、白黒写真のデジタル化が終わりましたら、次は色の再現となります。これは、大変難しい問題です。
例えば、恐竜のCG動画を良く目にしますが、あれは象やトカゲや鳥など、様々な動物の表皮や動きを参考に作られています。
あの恐竜達はたいへんリアルに感じますが、全部間違っているかもしれません。何故ならば、誰も実物を見たことが無いからです。
全て予測・推測・憶測でしかないのです。もしかしたら孔雀の羽根みたいな色の、カラフルな恐竜だっていたかもしれません(笑)。
明治時代や大正時代の白黒写真にも同様の事が言えます。正しい色は、どうだったのか?
現物が残っている場合は、良いです。車や寺社仏閣など、現在にも残っているものなら、それを参考にできます。
しかし、現物が残っていない場合は、種々の資料を集める必要があります。どのように調べられるでしょう?
①同時代の遺跡や建物、衣服などを参考にする。
家電や車などなら当時のカタログとか、建物や衣服であれば民族博物館の展示物等もかなり参考になります。
②証言を集める。まだ存命中の方から、当時の記憶をお聞きします。その道の専門家の証言も有効でしょう。
これらの情報をベースに、色を組み立てていきます。
どうしても色情報が無い部分は、最終手段として常識的な推測(※例えば木なら茶系、コンクリートならグレー系等)で埋めます。
当工房のおいて作成したカラーライズ画像より、数点をピックアップしましたのでご覧ください。
★人物編
ケロヨン
猫と
★スーパーカー編
トヨタ2000GT
コスモスポーツ
フェラーリ・365GT4BB(ベルリネッタ・ボクサー)
ランボルギーニ・ミウラ
さて、いかがだったでしょうか? 形であれ、色であれ、記憶であれ、失われた情報を再構築するのは、難しいものですね。
また面白いVFXの記事を書いたらUPいたします♪