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基礎技術テーマ:質感設定の基礎と適用 (記事記載:2010年10月1日)
①金属の表現…削りだしたアルミ材の質感設定を"基本的な設定"のみで表現してみましょう。 準備:
シンプルな直方体オブジェクトを用意し、メイン、サブ、バックのライトを適当に配置します。
質感の設定:
金属表現は、通常は周囲の物体の写り込みの反映などでリアルになりますが、今回は基本の質感設定とライティングだけで金属質感を目指します。最初にカラーと拡散レベルを設定します。
(※明るいグレーや高い拡散レベルを設定してしまうと、反射光との相乗効果で、ライティングで表面が真っ白に飛びやすいので要注意です)。
・拡散レベルは50%で設定しました。
一般に金属はライトが射し込んできた際に、光が広範囲に広がります。
また、金属の光沢は紙のようなぼんやりした光沢でなく、シャープです。
・今回は反射光は100%、光沢は40%に設定しました。
(※今回、物体写り込みは使いませんが鏡面反射率は50%に設定してあります)。
削りだした表面の表現のためバンプマップも併用します。
・フラクタルノイズをXY方向を極度に縮小し、Z軸方向には伸ばして適用。
(※バンプ値にあまり大きな値を入れると、バンプがはっきりし過ぎて、削り出しの跡ではなく単なる"コードの集合体"のように見えてしまいますので、注意が必要です)。完成したレンダリング画像
さて次に、基本的な機能に加えて、やや高度な機能を使用した質感設定の一例を説明しましょう。
②架空の鉱石…架空の透明度のある鉱石の質感設定を、高度な機能を一切使用せず、"基本的な設定"のみで設定してみましょう。 準備:
直方体オブジェクトのポイントを移動して鉱石っぽい適当なオブジェクトを作成します。
(※複雑な形状の方が、より屈折の表現を認識しやすくなります)。
メイン、サブ、バックのライトを適当に配置します。
質感の設定:
カラーは適当に設定(今回は紫系R071,G044,B071にしました)。拡散レベルは高く、そしてガラスのような光の広がりのある反射光を設定します。
・今回は、反射光100%、光沢を30%に設定しました。
また、ガラスのように表面に写り込みますので、鏡面反射の設定も必要です。
・今回は、周辺の写り込みを50%に設定。
透明な鉱石の質感ですので、最も主要なポイントは、透明度と屈折率の設定です。
・水のような透明度をもたない鉱石ですので、透明度を75%にしました。
・屈折率は水(約1.333)、ガラス(約1.5)よりも大きな1.78に設定しました。
・透明物質なので、ポリゴンは両面レンダリング可能な設定にします。完成したレンダリング画像
※設定の効果を反映させるために、
レンダリング時には、反射や透過、
屈折などの機能をONにします。
③人間の肌…人間の肌を、基本的な設定に、SSS(サブ サーフェス スキャタリング)を加えて表現してみましょう。
<SSSの設定>
準備:
人物の顔オブジェクトを用意します(→人物モデリングの章参照)。
メイン、サブ、バックのライトを適当に配置します。
質感の設定:
基本設定で、カラー、拡散レベル、反射光、光沢を設定しましょう。
・肌の色は、今回はR248,G220,B186に設定しました。
(※ただし、これは後でSSSのカラーに設定しなおします)。
・人の肌の拡散レベルは高め(85~100)です。今回は、90%に設定しました。
・人の肌は金属のような高反射をしません。反射光10%、光沢10%に設定。
人の肌は、鏡のような鏡面反射はないので0%の設定で良いでしょう。
さて、基本設定を終えたら、次にSSSの効果を加えます。
ロウソクや人の肌のような物質は、金属と違って実は半透明です。
暗闇で懐中電灯を手の平につけたことがある人も多いと思いますが、光が(骨の部分以外の)肉と皮膚を透過して拡散して赤く見えます。ロウソク、スーパーボール、石鹸なども、光を当てると、エッジが半透明で光を拡散しています。この効果をもたらすのがSSS(サブ サーフェス スキャタリング)です。
(※SSSの設定の仕方は、ソフトごとに異なりますので、それぞれマニュアルを参照してください。)
今回、SSSをDiffuse_Shading(拡散シェイディング)に関連付け、左下段図のように設定しました。
・肌の表面のカラー、内側の肌の色(やや赤め)を左記のように設定。
・光が透過する肌の厚みを5mmに設定しました。
・屈折率は、ディフォルトの1.4のままにしました。
この後、顔の画像やバンプその他のマッピング画像の張り付け作業がありますが、ここでは取り扱いません。マッピング処理については、マッピングの章を参照してください(→マッピングの章)。完成したレンダリング画像 <参考画像>
SSSの効果をより分かりやすく見せるため、効果を誇張したのが左の画像です。
光が透過する肌の厚みを敢えて10cmと誇張し、かつ背景のライトの強さを2倍に設定しました。
耳や後頭部の肌の中を透過する光の拡散の効果が、より分かりやすく確認できると思います。